ISSN 2189-7506
1. これからの学術情報システム構築検討委員会の活動について
(図書館システム・ネットワークプロジェクト2022)2. 2022年度 新NACSIS-CAT/ILLの変更点(2022年12月末時点)
3. 新NACSIS-CAT/ILL移行にかかるシステム停止(2023年1月)
4. 新NACSIS-CAT/ILL公開後の書誌・所蔵データ一括登録の取り扱い
5. 新NACSIS-CAT/ILL Q&A DBの公開について
6. 電子リソースデータ共有サービス「ライセンス(JUSTICE)」正式公開について
7. CAT/ILLリプレイス&電子リソースデータ共有サービス説明会 開催報告
(NACSIS-CAT)8. NACSIS-CAT/ILLウェブサイトリニューアルのお知らせ
9. 2021年度NACSIS-CAT/ILL業務分析表の公開
10. NIIでの目録品質管理(19)
(NACSIS-LL)11. ILL文献複写等料金相殺サービス処理報告(2022年度第2四半期)
(教育研修事業)12. 目録システム書誌作成研修について
1. これからの学術情報システム構築検討委員会の活動について
これからの学術情報システム構築検討委員会は、「これからの学術情報システムの在り方について(2019)」(2019年2月15日(金)付公開、以下「在り方(2019)」という。)で挙げた課題について、以下の通り取り組んでいます。詳細は、各項目のURLをご参照ください。
1. 電子リソースデータ共有サービス
「在り方(2019)」で提唱した「図書館システム・ネットワーク」における、「共同利用システム」構築の取り組みとして、2022年12月26日(月)に、「電子リソースデータ共有サービス」のうち、「ライセンス(JUSTICE)」を正式公開しました。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/e-resources
2. ユーザーグループ
当委員会では、「図書館システム・ネットワーク」を支えるコミュニティ(ユーザーグループ)について検討を重ね、2022年10月25日(火)にユーザーグループの試行運用を開始しました。
ユーザーグループの最初の試みとして、「図書館システム・ネットワーク」の利用機関とその図書館員等が自由に情報や意見を交換できるユ-ザーグループSNSを開設しました。ユーザーグループSNSは、①テーマを決めず、気になる話題について話すフリートークチャンネルと、②特定のトピックについて話すチャンネルの2つのタイプがあり、本年度は、次の3つのチャンネルを試行的に運用しています。
- フリートーク(タイプ①)
- NCR2018の洋書適用について(タイプ②)
- 共同調達・運用の実現に向けた図書館システムガイドライン作成(タイプ②)
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/usergroup
3. 「これからの学術情報システムのメタデータ収集・作成方針について(2022)」公開
2022年2月18日(金)に「これからの学術情報システムのメタデータ収集・作成方針について(案)【ドラフト版】」を公開し、2022年2月18日(金)~同年4月30日(土)の期間、フィードバックを募りました。フィードバックに基づき、「これからの学術情報システムのメタデータ収集・作成方針について(2022)」を作成し、公開しました。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/documents
当委員会の資料および議事要旨は、以下URLで公開しています。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara
(これからの学術情報システム構築検討委員会 事務局)
2. 2022年度 新NACSIS-CAT/ILLの変更点(2022年12月末時点)
「共同利用システム」の次期システム「新NACSIS-CAT/ILL」は、2023年1月31日(火)に運用開始予定です。2022年12月末時点の次期システムで見込まれる変更点を公開しました。
「2022年度リプレイスに向けた「新NACSIS-CAT/ILL」の変更点(2022年12月末時点)」
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/catill/client_guidelines
<Z39.50クライアント機能における利用可能なデータベースの追加について>
新NACSIS-CAT/ILLでは、Z39.50クライアント機能( https://contents.nii.ac.jp/catill/about/cat/infocat/z3950 )で検索対象とする、フランス語書誌データベースにSudoc (Système universitaire de documentation、大学記録システム)を追加します。
Sudocは、高等教育書誌作成機関 (ABES) が作成したフランスの総合目録です。
Sudocは1,300万件を超える図書、雑誌、電子資料、視聴覚資料、マイクロフィルム、地図、スコア、写本を含む書誌情報が登録されています。
*Sudocの接続利用のガイドライン案(2022年10月31日時点)は前掲のURL( https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/catill/client_guidelines )をご覧ください。
(NACSIS-CAT/ILL担当)
3. 新NACSIS-CAT/ILL移行にかかるシステム停止(2023年1月)
新NACSIS-CAT/ILLシステム移行のため、2023年1月10日(火)より以下のとおり、システム停止を行いました。
・業務用サーバ
システム名 | 停止期間 (日本標準時(JST)による) |
NACSIS-CAT | 2023年1月10日(火)0:00 ~ 1月31日(火)9:00 |
NACSIS-ILL | 2023年1月23日(月)0:00 ~ 1月31日(火)9:00 |
2023年1月10日(火)0:00から1月23日(月)0:00までの期間は、BOOK、RECON、PREBOOK、BHOLD、SERIAL、SHOLD、NAME、TITLE、MEMBERおよび参照データセットに対して、作成・修正・削除(INSERT、UPDATE、DELETEメソッド)ができません。ただし、検索・表示(SEARCH、SCAN、RETRIEVE、INDEXLISTメソッド)は、ご利用可能です。
2023年1月23日(月)0:00 から1月31日(火)9:00までの期間は、検索・表示(SEARCH、SCAN、RETRIEVE、INDEXLISTメソッド)も含め、ご利用いただくことができませんのでご注意ください。
・教育用サーバ、テスト用サーバ、検索専用サーバ
サーバ名 | 停止期間 (日本標準時(JST)による) |
教育用サーバ | 停止なし |
テスト用サーバ | 2023年1月30日(月)17:00 ~ 2023年1月31日(火)9:00 |
検索専用サーバ | 2023年1月30日(月)17:00 ~ 2023年1月31日(火)9:00 |
・オプションサービス (個別版、所蔵レコードの一括更新等)
内容 | 停止期間 (日本標準時(JST)による) |
CAT自動登録/夜間サーバ | 2023年1月10日(火)0:00 ~ 2023年3月31日(金)時間未定 |
漢字統合インデクス | 停止なし |
WebUIP | 2023年1月23日(月)0:00 ~ 2023年1月31日(火)9:00 |
個別版サービス | 2023年1月10日(火)0:00 ~ 2023年3月31日(金)時間未定 |
所蔵レコードの一括更新 | 2023年1月10日(火)0:00 ~ 調整中 |
詳細は、以下URLをご参照ください。
ご不便をおかけいたしますが、ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/catill/system-migration
(NACSIS-CAT/ILL担当)
4. 新NACSIS-CAT/ILL公開後の書誌・所蔵データ一括登録の取り扱い
新NACSIS-CAT/ILLは、2023年1月31日(火)公開予定です。
システム公開後、参加館のローカルシステムから書誌・所蔵データの一括登録*を行う場合、以下のようにお取り扱いいただきますよう、お願い申し上げます。
*各ローカルシステムの機能を用いて、50件以上の書誌・所蔵データを同じタイミングで繰り返し登録すること。
- 1月31日(火)~2月5日(日)は、一括登録を行わないよう、お願いいたします。
- 2月6日(月)~2月14日(火)は、以下の表のように、参加館の地域毎に登録日を設けます。東京都のみ2つのグループに分け、登録日を設けています。
- 2月15日(水)以降は、自由なタイミングでの更新作業が可能です。
※KIDはNACSIS-CAT接続機関一覧( https://contents.nii.ac.jp/catill/stats/cat/org )をご覧下さい。
新NACSIS-CAT/ILLの安定稼働のため、ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
(NACSIS-CAT/ILL担当)
5. 新NACSIS-CAT/ILL Q&A DBの公開について
2023年1月31日(火)に、新NACSIS-CAT/ILL Q&A DBの公開を予定しています。
新NACSIS-CAT/ILL Q&A DBの公開に先立ち、データ移行のため、Q&A DBの受付を以下の期間、停止します。
- 「総合目録データベース重複データ・RELATION報告の受付」
https://cattools.nii.ac.jp/qanda/dupuketuke.php
2022年12月19日(月)- 2023年1月31日(火) - 「NACSIS-CAT/ILL 質問受付」
https://cattools.nii.ac.jp/qanda/uketuke.php
2023年1月18日(水)- 2023年1月31日(火) - 「目録所在情報サービスに関する質問書/回答書データベース検索システム」
https://cattools.nii.ac.jp/qanda/kensaku.php
2023年1月18日(水)- 2023年1月31日(火)
「総合目録データベース重複データ・RELATION報告の受付」は、新NACSIS-CAT/ILL Q&A DBでは、「総合目録データベース重複データ報告の受付」に変更します。
停止によりご迷惑をおかけしますが、ご理解・ご協力のほど、よろしくお願いします。
(NACSIS-CAT/ILL担当)
6. 電子リソースデータ共有サービス「ライセンス(JUSTICE)」正式公開について
「共同利用システム」の「電子リソースデータ共有サービス」は、日本で刊行された電子リソースのデータ共有サービスであるERDB-JPに加え、「JUSTICE提案書関連情報のデータ共有」を提供します。本サービスにより、利用者が学術情報に迅速かつ的確にアクセスできるよう、ナビゲートすることができます。
2022年12月26日(月)、本サービスのデータ種別の一つ、「ライセンス(JUSTICE)」を正式公開しました。
●ライセンス(JUSTICE)とは
「ライセンス(JUSTICE)」は、電子リソースの閲覧の際に確認が必要になる利用条件や、図書館内部で必要になる管理用の項目をテキストデータ(タブ区切り)化したものです。これらのデータは、大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)による「JUSTICE提案書」を基にしています。JUSTICE提案書は、JUSTICEが出版社と交渉し合意したJUSTICE会員館向けの契約条件を記したもので、この提案書を基にして、各会員館が契約・支払を行うことになります。
ライセンス(JUSTICE)は、JUSTICE提案書の内容を基にしているため、JUSTICE会員館に限定して提供を行います。
ライセンス(JUSTICE)のデータ提供方法は「ダウンロードサービス」「APIによる参照」の2つがあり、2022年4月1日(金)にダウンロードサービスをテスト公開し、2022年12月26日(月)に「ダウンロードサービス」「APIによる参照」を正式公開しました。
詳細については、以下URLをご覧ください。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/e-resources/licenses-justice
なお、今後は、JUSTICE会員館以外の方にも広く使っていただけるデータ種別の提供も検討しています。電子リソースデータ共有サービスのデータ種別については、以下URLをご覧ください。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/e-resources/service_construction
●ライセンス(JUSTICE)「APIによる参照」機能のテスト環境公開について
2022年10月31日(月)にライセンス(JUSTICE)「APIによる参照」のテスト環境を公開し、2022年11月25日(金)までフィードバックを受け付けました。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/news/20221129
テスト環境は、本番環境と同じ機能を提供する環境です。データはダミーデータとなります。JUSTICE会員館以外(図書館システムベンダーを含む)も申請可能です。
テスト環境は、開発作業等に用いていただけるよう、正式サービス公開後にも提供を継続します。ご利用を希望される場合は、下記URLの「API利用申請フォーム」よりお申込みください。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/e-resources/licenses-justice/api
●ライセンス(JUSTICE)本公開について
2022年12月26日(月)、電子リソースデータ共有サービス「ライセンス(JUSTICE)」をJUSTICE会員館向けに正式公開しました。
- テスト公開時からの主な変更点
- 利用者に公開する項目と契約担当者等の図書館で利用する非公開項目を識別できるように、データ項目を変更しました。
- ダウンロードサービスのテスト公開時は「電子リソースデータ共有サービス ライセンス項目一覧(テスト公開用)」の「中項目」を項目名としていましたが、正式公開では、「ライセンス(JUSTICE)項目一覧」の「ライセンスラベル」を項目名とします。変更後の項目名は、以下URLをご覧ください。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/e-resources/licenses-justice #section-4
- ダウンロードサービスの利用方法
- 下記URLから「ダウンロードサービス」ページにアクセスし、「ダウンロードサイト」にJUSTICEウェブサイトのUsername・パスワードを使用して、ログインしてください。
- 「ダウンロードサイト」からデータをダウンロードできます。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/e-resources/licenses-justice/ downloads
- APIによる参照の利用方法
- 下記URLから「APIによる参照」ページにアクセスし、「API利用申請フォーム」から利用申請を行ってください。
- 「電子リソースデータ共有サービス」窓口が、申請館に対して、個別にAPIキーを発行します。
- 申請館は、APIキーを用いて電子リソースデータ共有サービスにアクセスし、データを取得することができます。
※APIキーの申請は、図書館システムからではなく、各図書館からご申請ください。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/e-resources/licenses-justice/api
(NACSIS-CAT/ILL担当)
7. CAT/ILLリプレイス&電子リソースデータ共有サービス説明会 開催報告
2022年10月27日(木)および2022年11月16日(水)に、「CAT/ILLリプレイス&電子リソースデータ共有サービス説明会」をオンラインで開催しました。
- 第1回 10月27日(木) 10:20-12:00 視聴者数:約1,500名
- 第2回 11月16日(水) 10:20-12:00 視聴者数:約900名
資料、録画、および当日いただいた質疑の回答を、以下URLで公開しています。
URL:https://contents.nii.ac.jp/korekara/libsysnw/event
また、2022年9月7日(水)~ 2022年9月8日(木)の大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)版元提案説明会で、JUSTICE会員館向けに「電子リソースデータ共有サービス説明会」と個別相談を実施しました。
- 「電子リソースデータ共有サービス説明会」の視聴者数:300名
- 個別相談件数:9件
説明会の資料、録画、および当日いただいた質疑の回答は、JUSTICE会員館専用ページにて公開されています。
URL:https://contents.nii.ac.jp/justice
(NACSIS-CAT/ILL担当)
8. NACSIS-CAT/ILLウェブサイトリニューアルのお知らせ
2022年11月28日(月)に、NACSIS-CAT/ILLウェブサイトをリニューアルしました。
URL:https://contents.nii.ac.jp/catill
●サイトデザインリニューアル
- サイトカラーやアイコンは旧サイトのイメージを継承しながら、全体のデザインをすっきりとさせました。
- サイトで使用するフォントを、ユニバーサルデザインフォントに一新しました。
●サイト構成の変更
- 旧ウェブサイトでは、一つの「ドキュメント」メニューの下にマニュアル・統計・ニュースレター等が入っていて探しにくい状態でしたが、「マニュアル」と「統計」を独立したメニューに分けました。また、ニュースレターを「事業について>CAT/ILL」の下に変更しました。
- セルフラーニング教材やテキスト教材へのアクセスがしやすくなるよう、「研修」メニューを新設しました。
- 過去の事業やイベント等については、「プロジェクト・参考」のメニューに集約しました。
●URLの変更
- サイトトップページ以下のすべてのページのURLを移行しました。
- 目録情報の基準、コーディングマニュアル等のマニュアル類は、見た目などは以前と変わりませんが、URLが変わっています。新しいマニュアルのURLは、新ウェブサイトの「マニュアル」メニューからご確認ください。
URL:https://contents.nii.ac.jp/catill/manuals
また、旧ウェブサイトは2022年11月28日(月)を以て更新を停止しました。最新情報については、新ウェブサイトをご確認ください。旧ウェブサイトは、2023年1月末までの閉鎖を予定しています。
(NACSIS-CAT/ILL担当)
9. 2021年度NACSIS-CAT/ILL業務分析表の公開
2022年11月24日付で、2021年度分のNACSIS-CAT/ILL業務分析表を公開しました。
URL:https://catill-q.nii.ac.jp/
データの入手方法およびデータの見方については、以下URLをご参照ください。
URL:https://contents.nii.ac.jp/catill/project_reference/project/nextcat/kadaipt/bunseki2023
なお、51号「2023年度以降の業務分析の当面停止について」でお知らせしました通り、新NACSIS-CAT/ILLへリプレイスを行うと同時に、2023年度以降の業務分析を停止します。
(NACSIS-CAT/ILL担当)
10. NIIでの目録品質管理(19)
目録品質管理の実際を紹介する第19回です。今回のCBS移行作業のように、一定期間NACSIS-CATのサービスが休止した後に登録を再開する際の注意点についてご説明します。
CBS移行による約3週間のNACSIS-CATに登録できない間は、ローカル内で目録作業を行い、移行が完了した後にまとめてNACSIS-CATへ登録したいと思っています。ただ、多くの参加館が同じように考えていた場合、重複書誌の大量発生が気になります。何に気を付ければいいでしょうか?
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●原則の再確認を
このニュースレターでもたびたび触れてきましたが、「あれば使う、なければ作る」、まずはこの総合目録データベースの大原則をご確認ください。
ご懸念の通り、3週間にもわたるサービス休止期間内には、ローカル内に相当数の書誌・所蔵データが蓄積されることが予想されます。そして、そのローカルデータは、CBS移行作業が完了し、新しい環境でNACSIS-CATがリスタートした時から、一気に総合目録データベースへの登録(アップロード)が開始されることになるでしょう。
しかしながら、気を付けていただくことは、休止の有無にかかわらず同じです。
- 正確かつ十分な検索を行うこと
- 検索は登録の直前に行うこと
- 規則を正しく理解し、同定をしっかり行うこと
そして、「あれば使う、なければ作る」。
これらのことにご注意いただければ、重複書誌の大量発生は生じにくいと考えます。
いつも通りで問題ありませんが、ご心配な場合は、今一度、原則の確認をお願いいたします。
●旧CAT、新CAT、そして次は・・・
品質管理の視点から、これまでのNACSIS-CATの歩みを少し振り返りたいと思います。
今から30年以上さかのぼる1984年、NACSIS-CATはスタートしました。当時の学術情報センターの略称「NACSIS」と目録の英語形「Catalog」からの「NACSIS-CAT」です。サービス開始からしばらくの間は、通信環境も運用もなかなか安定せず、たびたびサービスが停止しては「トラブルによりサービス停止中」の連絡を電話で行うような状況でした。
データベースの更新もリアルタイムではなく、日中の作業はトランザクションと呼ばれる一時ファイルに保存され、その日の夜に総合目録データベースに反映させるという方法でした。
逆に言うと、間違った登録をしてもその日のうちであれば取り消すことができました。新人の作った書誌は、その晩の本更新の前に職場の先輩のチェックを受ける時間的(人的)余裕もありました。目録作業が、図書館業務の中で主要であることをだれも疑っていなかった時代でもありました。
1997年、NACSIS-CATに大きな変化がありました。サーバシステムの導入です。この新たなNACSIS-CATは「新CAT」と呼ばれ、区別するためにそれ以前のNACSIS-CATを「旧CAT」と呼ぶことになりました。インターネット接続が当たり前になり、同時接続台数は大幅に増加し、そして通信によるトラブルが激減しました。多言語対応などもこのタイミングで、NACSIS-CATが扱える言語や資料が一気に広がり、各種資料に対応するコーディングマニュアルの整備が行われ、遡及入力が進みました。少し前からNACSIS-CATにかかわられている方でしたら、この時の変化の大きさを覚えていらっしゃると思います。まさに「新CAT」、新しいCATとの出会いでした。
そして、今回のOCLC CBSへの移行です。運用面ではほぼ変わらないとは言え、1984年以来ずっと書誌ユーティリティも開発ベンダーもすべて純国産として成長してきたNACSIS-CATが、はじめて海外のプラットフォームへ進出することになります。気になるのは、「新しいなまえ」、です。旧CAT、新CATときて、次はどうでしょうか。生まれ変わりを象徴するような、素敵な「新しいなまえ」がつくとよいのではないでしょうか。
●新しい環境へ 感謝とともに
NACSIS-CATの総合目録データベースは、いまや図書書誌1300万件、図書所蔵1億4000万件をこえる、名実ともに日本を代表するデータベースへと成長しています。1984年のスタートからの数えきれない多くの方の日々のコツコツとしたお仕事の積み重ねが、今のこの数字となって表れていると思っています。そして、NACSIS-CATの素晴らしいところは、ただ数が多いだけではなく、クオリティの面でも大変に管理が行き届いているところです。
CAT2020でレコード調整は廃止され、並立書誌が許容されるようになりましたが、まだまだNACSIS-CATの質は誇るべきものであると考えます。それは、まさに参加館のみなさま一人ひとりが、NACSIS-CAT総合目録データベースの意義を理解し、利用者のために、その価値を低下させないようにとの心がけあればこそ、と感謝いたします。
NACSIS-CAT誕生にご尽力くださった方々、NACSIS-CATをここまで育ててくださった皆様とともに、CBS移行の時を迎えられることを心強く感じています。
これからより一層、NACSIS-CATが世界に誇る総合目録データベースに成長できるよう、ご理解ご協力をよろしくお願いいたします。
(NACSIS-CAT/ILL担当)
11. ILL文献複写等料金相殺サービス処理報告(2022年度第2四半期)
ILL文献複写等料金相殺サービスの処理状況は、以下のとおりです。
●2022年度第2四半期(2022年7月~9月)
- 利用機関数:975
- 処理対象ILLデータ件数:107,748 (NACSIS-ILL総データ件数:117,440)
対債務機関 | 対債権機関 | ||
---|---|---|---|
機関数 | 556 | 419* | |
NIIの請求額/支払額 | 13,843,100 | ▲ 13,767,825* | |
内訳 | 相殺金額 | 13,838,583 | ▲ 13,838,583 |
運営費(税込) | 4,950 | 4,950 | |
前期債権繰越額 | ▲ 433 | ▲ 2,090 | |
振込手数料 | 0 | 67,898 |
* 対債権機関の機関数、NIIの支払額には次期繰越分(26機関、12,652円)が含まれています。
(NACSIS-CAT/ILL担当)
12. 目録システム書誌作成研修について
目録システム書誌作成研修は、目録業務担当者が多様な書誌事例について理解を深め、総合目録データベースの円滑な運用に必要な知識・技能を身につけることを目的として、2015年度より開催しています。
2022年度は2021年度同様に新型コロナウイルス感染防止のため、完全オンライン形式で開催しました。研修の構成は本研修(2日間)・フォローアップ研修(0.5日間)となっており、フォローアップ研修では本研修で用いた課題の一部(NCR2018、古典籍資料)をさらに発展させ、本研修同様にワークショップ形式で議論を行うことにより、一層の知識の定着を図ることを目指しています。
ホットトピックスである「日本目録規則2018年版への対応について」を経験豊富な講師に講義していただきました。研修課題は、NCR2018・視聴覚資料・雑誌・古典籍資料等、書誌作成研修企画ワーキング・グループが作成した実践的かつ多様な内容としました。研修では、受講者各自が作成した解答案を持ち寄り、グループでディスカッションを行い、グループごとの解答を発表するという流れで進みました。
受講者からは、他機関の目録担当者とオンラインとはいえディスカッションを行えたことにより、様々な意見を聞けて気づきを得たことが有益であったとの意見等がありました。
カリキュラム・講義資料等詳細は、教育研修事業ウェブサイトで公開しています。なお、研修課題・解説は、一部について今後の研修でも使用する予定ですので、公開しておりません。
URL:https://contents.nii.ac.jp/hrd/cat_biblio
●目録システム書誌作成研修企画ワーキング・グループ
村上 遥(主査、国立情報学研究所)、布野 真秀(東京外国語大学)、和田 孝子(大阪大学)、松前 隆志(福岡教育大学)、羽賀 真記子(九州大学)、中村 健(大阪公立大学)、矢崎 美香(九州女子大学)
グループ演習課題作成協力:長谷川 実帆(広島市立大学)
(教育研修事業担当)