これからの学術情報システム構築検討委員会では、2022年度末導入予定の「新NACSIS-CAT/ILL」における「日本目録規則2018年版」(NCR2018)の適用を検討するため、NCR2018適用細則案を作成しました。
本案に対して、目録規則を用いた業務に携わるみなさまからのパブリックコメントを募集します。
なお、パブリックコメントは、各自個別にお返しいただき、図書館毎のお取りまとめは不要です。
本細則案につきましては、みなさまのご意見をもとに見直し、次年度以降コーティングマニュアルへの反映を検討してまいります。
目次
◆趣旨
これからの学術情報システム構築検討委員会下のシステムワークフロー検討作業部会でのNCR2018の適用検討の考え方は、以下に抜粋した『これからの学術情報システムのメタデータ収集・作成方針について(2021)【案】』に示しております。
方針案全体につきましては(https://contents.nii.ac.jp/sites/default/files/korekara/2022-02/korekara_sw20220218.pdf)をご参照ください。
3.1 現況 1990年代,目録対象の多様化や目録作成・提供環境の電子化により,従来の目録規則の枠組みでは対応困難であることが顕在化した。その中で,FRBR,FRAD,FRSADといった概念モデルが登場し,2017年にはこれら3つの概念モデルを統合した新たな概念モデルとしてIFLA LRMが発表され,国際的に書誌的世界のとらえ方が大きく変化している。NACSIS-CATの後継になる共同利用システムではこれら国際標準の概念モデルに対応することが課題であった。また,書誌データ作成作業のオンライン化が進んだものの,従来の目録規則はカード目録等紙媒体での目録を前提とした規則をそのままオンライン目録に当てはめている状態であり,大量の情報の行き交う現代社会において,活用度の低いデータとなっている点は否めない。NACSIS-CATがこれまで行ってきたリンクによるデータの連携をさらに拡大し,機械可読性を高めることでデータの相互運用性を高めることを目指す必要があった。 これらの従来の目録規則からの転換に対応した目録規則として,RDAが国際的に広がりを見せており,準国際的な目録規則となっている。国内でも2010年より新しい目録規則作成が着手され,2018年にNCR2018が公開された。NCR2018はRDAとの相互運用性を担保した新しい目録規則であり,FRBR等の概念モデルに準拠した規則である。NACSIS-CATが参照するMARC作成館であるNDLでは2021年1月よりNCR2018の適用を開始し,TRCでも2022年1月からのNCR2018適用が予定されている。 3.2 見解と方針 3.2.1 共同利用システムへのNCR2018適用 共同利用システムにおいても,上述の通り国際標準へ対応し,他の書誌作成機関作成のデータと連携していくために2023年度にNCR2018の適用を開始することにより,より豊かな目録,図書館職員のみならず,エンドユーザーにわかりやすい目録を目指していく。相互運用性を高めることで,共同利用システムの書誌データの流通の促進が見込まれる。NCR2018は「物理的な資料」,「電子的な資料」どちらも表現することが可能な目録規則であるが,今回の対応では従来のNACSIS-CATの収録範囲内の資料に適用範囲をとどめる。「物理的な資料」のNCR2018適用が,現在も多様化が進む電子的な資料のスキーマの標準化の一助(統合的発見の促進)となることも期待する。 |
なお、日本語以外への言語資料(洋資料)へのNCR2018適用につきましても、以下のように検討しました。これにつきましても質問項目を設けておりますので、コメントをいただければと存じます。
3.2.2日本語以外の言語資料へのNCR2018適用 現在のNACSIS-CATでは和資料(日本語,韓国語,中国語)以外のいわゆる洋資料の目録規則は「英米目録規則改訂第2版」 (以下,「AACR2」という。) を採用している。今後の国際標準への対応のために,洋資料についても目録規則の変更が必要となる。本部会では当初,AACR2の後継にあたる準国際的な目録規則であるRDAの採用について検討を行った。しかしRDAはIFLA LRMへの対応など改訂が頻繁に行われており,多くの大学図書館の加盟する同システムにおいて頻繁な改訂への適用は大きな負担となることが見込まれる。またNCR2018はRDAの根幹的な部分との互換性を備えており,MARC21形式の海外のデータの受け入れや,今後NCR2018に基づいて作成したデータを海外に提供することも可能であると判断した。 以上のことから日本語以外の資料についてもNCR2018を適用する。 |
◆募集期間
2022年2月25日~3月25日
<パブリックコメントは終了しました。多くのご意見をいただきありがとうございました。>
◆コメント送付先
<パブリックコメントは終了しました。多くのご意見をいただきありがとうございました。>
◆適用細則案
総説・属性総則(464.7 KB)
和図書(1.21 MB)
和逐次刊行物(1.26 MB)
関連(553.2 KB)
付録(209.21 KB)
◆関連文書
- NACSIS-CAT/ILLの軽量化・合理化について(最終まとめ) 2018年10月19日
- これからの学術情報システムの在り方について(2019) 2019年2月15日
◆関連イベント
- 三田図書館・情報学会 第186 回月例会 2021年9月18日
- 情報組織化研究グループ2022年1月月例研究会 2022年1月22日
◆備考
- 本案は、国立国会図書館作成のNCR2018適用細則を参照し、作成しています。
- 凡例は必要に応じて、各ファイルの先頭に説明資料を付しています。参考情報として、NDL適用/非適用の列を設け、比較参照できるようにしています。
- 細則とは、『日本目録規則2018年版』(NCR2018)の本則または別法の選択方針を示したものです。本則または別法を原則として採用していますが、条項によってはそのいずれでもない独自の規定を設けたり、任意規定を細かく定めたりしている場合があります。