| 日時 | 平成24年2月29日(水) 13:00~17:00 | PDF版(333.8 KB) |
|---|---|---|
| 場所 | 国立情報学研究所 12階 1208,1210会議室 |
イベントは終了しました。多数のご参加ありがとうございました。
当日の発表資料と開催報告を公開しましたので,ご活用ください。
アウトライン
【概要】
2003年,ブダペストオープンアクセスイニシャチブ(BOAI)はオープンアクセス実現のためのふたつの方策を提案しました。ひとつは,研究者が執筆論文をみずからインターネット公開する「セルフ・アーカイビング」です。 大学・研究機関が設置する機関リポジトリや,PubMedCentral 等の政府系アーカイブなどの形で発展してきています。もうひとつは,無料で利用できる電子ジャーナルを創刊し,そこに論文発表を行うというものです。そうした電子ジャーナルは「オープンアクセスジャーナル」と呼ばれ,現在世界で7300誌を数えます(スウェーデン・ルンド大学調べ)。
オープンアクセスジャーナルの出版には,商業出版社も参入し,近年では「オープンアクセスメガジャーナル」と呼ばれる従来の学術雑誌とは異質のメディアを生み出しました。こうした電子学術情報流通環境の急速な展開の下で,今後,学術コミュニケーションの姿はどう変わっていくのでしょうか。
今回の SPARC Japan セミナーでは,オープンアクセスジャーナルの代表的な出版団体のひとつである PUBLIC LIBRARY of SCIENCE (PLoS) から,PLoS ONE 誌出版代表の Peter Binfield 氏をお招きします。PLoS ONE は,2006年12月に創刊された自然科学全域を対象とするオープンアクセスジャーナルです。独特の査読・編集工程により,従来誌よりも素早く大量の研究論文を掲載することを特徴とし, 2011年には約14,000報の研究論文を1年間に出版しました。PLoS ONE の発展は学術出版界の注目を集め,2009年に "ALPSP Award for Publishing Innovation",2011年には "SPARC Innovator Award" を受賞しました。現在では,他の出版社,学協会からも PLoS ONE と似た特徴をもつジャーナルが創刊されはじめています。
本セミナーでは,こうした「オープンアクセスメガジャーナル」を中心テーマとして,オープンアクセス出版の現在と未来について議論を深めます。多くのみなさまのご来場をお待ちします。(当日は通訳がつきます)
プログラム
司会: 近藤 喜和 (DRF,奈良先端科学技術大学院大学附属図書館)
| 時間 | 内容 | 講師 | 発表資料 | ビデオ映像 | ドキュメント |
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| 13:00-13:05 | 開会挨拶 |
杉田 茂樹 (DRF,小樽商科大学附属図書館) |
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| 13:05-13:20 |
オープンアクセスジャーナルとは [講演要旨] |
(DRF,鹿児島大学附属図書館) |
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 3.0 Unported ライセンスの下に提供されています。 |
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| 13:20-13:35 |
PLoS ONEにおける日本著者論文 [講演要旨] |
(筑波大学大学院博士後期課程図書館情報メディア研究科) |
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| 13:35-14:35 |
PLoS ONE and the Rise of the Open Access MegaJournal [講演要旨] |
(PUBLIC LIBRARY of SCIENCE) |
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| 14:35-14:50 | 質疑応答 | ||||
| 14:50-15:00 | 休憩 | ||||
| 15:00-17:00 | パネルディスカッション |
【モデレーター】 土屋 俊 (大学評価・学位授与機構) 【パネリスト】 Peter Binfield (PloS) [講演要旨] (NPG Nature Asia-Pacific) [講演要旨] (シュプリンガー・ジャパン) 大澤 類里佐 (DRF,筑波大学附属図書館) 安達 淳 (国立情報学研究所) |
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| 17:00 | 閉会挨拶 |
安達 淳 (国立情報学研究所・予定) |
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参加費
無料
参加申込
氏名,所属,連絡先をご記入の上,件名を【第5回SPARCセミナー参加申込】として,電子メールまたはFAX にて下記宛にお申込ください。折り返し【受付票】を返送しますので,当日ご持参ください。
※ご連絡いただいた個人情報は,今後のセミナーのご案内と開催変更等の緊急連絡に使用いたしますのでご了承ください。
受付は終了いたしました。多数のお申込み誠にありがとうございました。
申込期限: 平成24年2月24日(金)
申込先: 国立情報学研究所 学術基盤推進部学術コンテンツ課図書館連携チーム SPARC担当
E-mail co_sparc_all@nii.ac.jp FAX 03-4212-2375
講師紹介
◇西薗 由依
(DRF,鹿児島大学附属図書館)
2003年より図書系職員として勤務,機関リポジトリ業務などに携わる。
2011年よりデジタルリポジトリ連合 (DRF)企画ワーキング・グループ 集会企画・人材養成サブワーキング・グループに参加。
◇佐藤 翔
(筑波大学大学院博士後期課程図書館情報メディア研究科)
博士後期課程在籍(大学院生)。2010年筑波大学大学院博士前期修了(修士(図書館情報学)),同年より現在の所属へ進学。専門はオープンアクセス,大学図書館,学術情報流通,計量書誌学等。
◇Peter Binfield
(PUBLIC LIBRARY of SCIENCE)
Peter Binfield の Commissioning Editorとしての出版業界におけるキャリアは,アバディーン大学で光物理学の博士号取得の後,ブリストルにある英国物理学会(IoPP)から始まった。IoPP を経て,オランダの Kluwer Academic Publishers (KAP)に移り,辞典や便覧を主に担当したのち,物理,材料,化学といった理学系分野のマネージメントや植物科学,地球環境科学分野の管理職など,さまざまなポジションを経験した。KAP が Springer と合併したあとは,事業開発部門に属し,e-book,e-reference や Springer Open Choice program などのプロジェクトに携わった。2005年に米国カリフォルニアに移り住み,SAGE Publications に勤務。医学や社会科学分野,約220ジャーナルを抱える部門でキャリアを積んだ。2008年4月より PLoS ONE を手掛け,現在では世界中で最大のピアレビュー誌となり,2011年単独では約14,000編の論文を出版している。
◇Antoine E. Bocquet
(NPG Nature Asia-Pacific)
ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG),アジアパシフィック担当ディレクター。東京在住。アジアの学術出版業界に16年以上携わる。2001年にアジアパシフィックの出版責任者として NPG に入社,2005年にアソシエイトディレクター,2011年12月にアジアパシフィック担当ディレクターに就任。中国およびインド地域を除くアジアパシフィック地域での中核事業を担当し,サイトライセンス・ビジネスユニット,アジア地域の学会誌などの出版事業,さらにマクミラン・メディカル・コミュニケーションズ(アジア部門)を統括する。また,NPG の一部門であるサイエンティフィック・アメリカンと日本経済新聞出版社との合弁企業である日経サイエンス社の取締役を兼任。NPG に勤める以前は,東京にて,John Wiley and Sons のマネージングエディター(1998~2001),Gordon & Breach のコミッショニングエディター(1996~1998)を歴任。オーストラリア出身。東京大学大学院博士課程修了(物理)。グリフィス大学(ブリスベン)卒業。1994年より日本永住。
◇山下 幸侍
(シュプリンガー・ジャパン(株)代表取締役社長)
2011年10月より現職,シュプリンガー・グループの日本における責任者。シュプリンガーでは編集・出版部長,営業マーケティング本部長など各事業部のマネジメント職を歴任。2011年にはBMCなどのオープンアクセス事業を日本にて正式に開始する。 2008年以前はプロクエスト社の東アジア地区統括ディレクターとして日本をはじめ,急成長する中国,香港,台湾,そして韓国を管轄した。
講演要旨
◆オープンアクセスジャーナルとは
(西薗 由依)
近年の学術情報流通をめぐる急速な変化の中で,大手商業出版社も相次いで参入したこともあり,オープンアクセスジャーナルの注目度がこれまでになく高まってきている。
とりわけオープンアクセスメガジャーナルは,流通のみならず,研究成果の発表や評価のあり方など学術コミュニケーションの概念にも変化をもたらしている。 オープンアクセス出版の現在と未来について議論を行う上で,参加者が共通認識を持つための概略を説明する。
◆PLoS ONEにおける日本著者論文
(佐藤 翔)
日本の研究・教育機関等に所属する著者のPLoS ONEでの論文発表状況について,学術文献データベース Web of Science を用いて調査した結果を,隣接領域の他の論文等と比較しながら報告する。PLoS ONE 全体での掲載論文数の伸びに沿うかたちで,日本の著者による論文発表数も年々増加している。また,隣接領域の他誌掲載論文と比べると,PLoS ONE 掲載論文の方がより多くの助成金を獲得している傾向が見られた。
◆PLoS ONE and the Rise of the Open Access MegaJournal
(Peter Binfield)
PLoS ONEは典型的な「オープンアクセスメガジャーナル」で,2011年には約14,000論文を掲載し,その年のSTM分野の論文出版において1番でした。この成功とは別に,メガジャーナルは昨今のブームとなっています。PLoS ONE自体は創刊して5年ほどですが,この18カ月のうちにNature, SpringerやSAGEといった出版社から同様の雑誌が創刊されました。PLoS ONEは出版モデルとしてきわめて成功した事例であり,他の出版社が創刊してみようと考えた要因でしょう。この講演では「メガジャーナル」,PLoS ONEの実績やこれまでの歩みについてお話するとともに,最近の動向に関して概説します。また,今後5年のうちに,このモデルが出版界に及ぼす影響とどのような方向に進むのかについて,考えをお伝えします。
◆ネイチャー・パブリッシング・グループでのオープンアクセス出版
(Antoine E. Bocquet)
ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)は2009年からオープンアクセス出版のオプションを広く展開しており,2012年には,アジア地域からの4誌を含め完全オープンアクセスのジャーナルを12誌,また,オープンアクセスと有料購読モデルの両方のオプションを備えた「ハイブリッド」ジャーナルを44誌出版する予定である。
当講演では,そのうちの2誌について紹介する。2010年4月に創刊した Nature Communications は,Nature の姉妹誌では初めてのハイブリッドジャーナルで,毎月400以上の投稿を受け付け,約50%の著者がオープンアクセスのオプションを選択している。さらに,2011年6月に創刊した完全オープンアクセスの Scientific Reports は,自然科学全般をカバーする一次資料のジャーナルで,全て科学的根拠に基づいた論文を掲載している。
◆SpringerPlusの紹介
(山下 幸侍)
オープンアクセス商業出版の先駆けである「BioMedCentral」や科学・工学・人文社会系オープンアクセスブランド「SpringerOpen」など,オープンアクセスを学術出版モデルの一つの柱として位置付けているシュプリンガーが本年,2012年にキャスケード型のメガ・OA誌「SpringerPlus」を創刊。その意義や現状を紹介する。
開催報告
平成24年2月29日(水)に第5回SPARC Japanセミナー2011「OAメガジャーナルの興隆」を開催しました。
参加者数 109名
アンケート結果 回答数: 50
※ご意見は,公開の同意をいただいたものです。
■参加目的
業務に関連するため:42 研究に関連するため:6 教養:6 その他:0
■今回の内容について
目的達成度
役に立つ:45 普通:3 期待と異なる:0
ご意見 【所属/職種】
【学協会/学術誌編集関係】
- 学会誌編集の立場から今後の出版のかたちについて考える機会となり大変有意義でした。
- 大変興味深く聞かせていただきました。
【学協会/技術関係】
- OAの目的・意味を改めて考える機会となった。技術分野の論文でもOAは必要なのだろうか。
【大学/学術誌編集関係】
- 企画はいいけど何となくたるんでいる印象。
【大学/図書館関係】
- 講演もさることながら、パネルディスカッションでの話が参考になりました。非常に具体的な話が聞けました。
- 発表者の人達は良かったと思う。
- とてもよかったです。特にパネルが非常に良かった。良い質問が多く、色々なことを考えることができました。
- 良く分からなかったOAのことが分かったと思う。
【大学/研究・教育関係】
- テーマであったOAメガジャーナルだけでなく、学術コミュニケーションそのものについて色々なことを考えさせられ、たいへん刺激的でした。ありがとうございました。
【大学/大学院生・学生】
- 最新動向を知ることができました。
【企業/学術誌編集関係】
- すべての質問にYes/Noで回答させようとするのは無理。聞きたいことが聞けない。
- PLoS ONEの方に話を聞ける機会は余りないので大変ためになった。特に著者やコミュニティの反応(PLoS ONEがどう考えているのかではなく)に触れてあったのが良かった。
- 特にPLoS ONEを通してOAモデルについて理解が深まった。パネルディスカッションについては、印象としてやや準備不足を感じた。PLoS ONE vs ネイチャー&シュプリンガーという構図にしたかったのか?
- とても役に立ちました。
【企業/その他】
- パネルディスカッションの最後にありました、学会誌とメガジャーナルとのかかわりについて、学会や研究者からの議論がもっと聞きたかった。
- PLoS ONEでは、科学的に間違っていなければすべて掲載するとのことだったが、質の低い論文が沢山増えて、その中に質の高い論文が埋もれないか気になった。
- 他社の状況が分かり役に立ちました。
【所属:無回答/その他】
- 研究者へより知ってもらうことが必要なのでは?その意味でパネルディスカッションはあまり意義を感じなかった。
【その他/図書館関係】
- OAメガジャーナルの実際と(特にPLoS ONE)、OAメガジャーナルが学術コミュニケーションに及ぼす影響の予測について話が聞けて、大変参考になった。Yes/No形式は、それぞれの基本的立場が分かりやすく、良かった。特に「なぜそう思うのか」の部分では、本音も聞けたように思う。
【その他/研究・教育関係】
- OAメガジャーナルの状況についてreviewが聞けて役立ちます。直接関係している方々の予測なども参考になりました。
【その他/その他】
- 論文・著作物の自費出版の実施について参考となった。
■今後,聞いてみたい内容・テーマ・講演者について
【学会/技術関係】
- OA推進者は海外技術流出をどう考えているのか?
【大学/学術誌編集関係】
- SCOAP3のアップデートをOpen Access Weekにからめて。Ethical Issuesについて。
【大学/図書館関係】
- eLife
【大学/大学院・学生】
- OAと今後の大学図書館の方向性について。
【企業/学術誌編集関係】
- バイオメディカルの学会がオフィシャルジャーナルに望むこと。出版元への期待と不満。
【企業/その他】
- 今回のテーマに関して、Peer Reviewについてもう少し詳しく知りたくなった。著作権団体が集めた著作権料が、著作権者にどのように還元されるか?
【その他/学術誌編集・図書館関係】
- 図書館によるOA出版の試みと検証。
【その他/図書館関係】
- 日本の学協会は、OAメガジャーナルにどう向き合うのか?
【その他/その他】
- 電子リソースとそれへのアクセス方法。
■その他,当企画に関するご意見・感想
【学協会/学術誌編集関係】
- 日本型PLoS ONEができる可能性があるのでしょうか?
【大学/図書館関係】
- フロアとパネリストとの間のディスカッションが、もっとできるような時間構成の方が望ましかった。
- 通常の仕事ではわかりえないとても多くのことを勉強出来ました。ありがとうございました。
【企業/学術誌編集関係】
- パネルディスカッションをもっと効率よく、フロアも含めた建設的な意見交換ができるように考えて欲しい。
- 質問の時間は前2つとPeter氏とで分けて欲しかった。
【企業/その他】
- OA誌のインパクトがこれほど大きくなってきていると再認識し驚いた。パネルディスカッション2時間は長かった。OAについてのプレゼンなどもう少し詳しく聞きたかった。
【その他/学術誌編集・図書館関係】
- 短くとも講演ごとに質問時間をいれてください。
【その他/図書館関係】
- 企画運営に携わってくださった皆様、ありがとうございました。いつも思うことですが、こういったイベントを開催することは、本当に大変で、かつ、やりがいのあることだと思います。今後も続けて欲しいですし、より多くの方が「企画側」に参加することを望みます。
【その他/その他】
- 今後多数の論文の査読が出来にくくなるが、人間の工数削減のために、人工知能を活用できないものか。一般市民が論文をチェックできる仕組み作りのために。
