目録情報の基準


[目次]
[前ページ] 2.6 参加組織ファイル
[次ページ] 3.1 レコード作成

2.7 リンク関係

 図2-1で各ファイル間を結ぶ線は,リンク関係を表したものである。

 リンク関係の表現は,実際には各レコードの特定のフィールド(リンクフィールド)中に,リンク先レコードのレコードIDが記録されることによって行われる。レコードIDは,目録システムにおいて各レコードを一意的に識別するための番号であり,この番号によってリンク先レコードが特定されることになる。

 リンク関係は,リンクフィールドが繰り返し可能である場合,1:nの関係になる。例えば,書誌レコードのALフィールドは繰り返し可能であり,1書誌に対してn個の著者の存在が認められる。逆に,1人の著者は,m個の著作を著すことがある。この関係をm:1とすれば,結局,書誌レコードと著者名典拠レコードの関係は,m×n個の著者名リンクで表現されることになる。

 一方,一つの所蔵レコードは,一つの書誌レコードに対してしかリンク関係を持つことができない。その意味で,書誌レコードと所蔵レコードの関係は,常に1:nとなる。

 リンクで関連づけられたレコード間の関係は,レコードID以外に,より具体的な情報をも表示することでさらに明確になる。例えば,書誌レコードと著者名典拠レコードのリンク関係では,書誌レコードのALフィールドに,リンク先著者名典拠レコードのレコードIDと統一標目形が表示される。

 レコード間の関連性をリンクという方法で表現することは,総合目録データベースの大きな特徴である。また,このリンク形成によって相互のレコード検索が容易になることも,特徴の一つである。

2.7.1 書誌構造リンク

 図2-1には示されていないが,図書書誌レコード間のリンクとして,書誌構造リンクがある。

 書誌構造リンクは,シリーズ又はセットものにおける各冊の書誌単位と,全体を表す書誌単位のそれぞれについてレコードを作成し,前者(子書誌レコード)から後者(親書誌レコード)に対してリンク形成を行うものである。この関係づけは,いわばシリーズ名典拠コントロールに相当する。

2.7.2 所蔵リンク

 図2-1で書誌ファイルと所蔵ファイルを結ぶ線で示されているのが,所蔵リンクである。

 所蔵リンクは,資料の書誌的記録と,参加組織における所蔵状況のそれぞれについてレコードを作成し(書誌レコード,所蔵レコード),両者の間でリンク形成を行うものである。この関係づけは,総合目録の本来の機能である所在情報サービスに相当する。

2.7.3 著者名リンクと統一書名リンク

 図2-1で書誌ファイルと著者名典拠ファイル,図書書誌ファイルと統一書名典拠ファイルを結ぶ線で示されているのが,それぞれ著者名リンク,統一書名リンクである。

 著者名リンクは,資料の書誌的記録と,著者名の統一形のそれぞれについてレコードを作成し,前者(書誌レコード)から後者(著者名典拠レコード)に対してリンク形成を行うものである。

 また,統一書名リンクは,資料の書誌的記録と,著作名の統一形のそれぞれについてレコードを作成し,前者(書誌レコード)から後者(統一書名典拠レコード)に対してリンク形成を行うものである。

 これらの関係づけは,典拠コントロールに相当する。ただし,雑誌書誌ファイルにおいては,著作名によるコントロールの意味はないと考えられるので,統一書名リンクは形成しない。

2.7.4 からも見よ参照リンク

 図2-1には示されていないが,著者名典拠レコード間のリンク,又は統一書名典拠レコード間のリンクとして,からも見よ参照リンクがある。

 からも見よ参照リンクは,例えば,名称を使い分けて著作を著す人物や,名称を変更した団体に対して作成される複数の著者名典拠レコード間で,相互にリンク形成を行うものである。著者名としては別個であるが相互に参照関係があることを,リンク関係で表現するわけである。

 なお,「からも見よ参照」に似たものとして「から見よ参照」があるが,これは,レコード間の関係としてではなく,1レコード内で表現する。

2.7.5 タイトル変遷リンク

 図2-1で雑誌書誌ファイルとタイトル変遷ファイルを結ぶ線で示されているのが,タイトル変遷リンクである。

 タイトル変遷リンクは,逐次刊行物の書誌的記録と,タイトルの変遷関係のそれぞれについてレコードを作成し(雑誌書誌レコード,タイトル変遷レコード),両者の間でリンク形成を行うものである。


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